2019年7月10日(水)
親の性格 子供が親にして欲しかったこと・して欲しくなかったこと
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親の性格・子供の性格 まとめ


 親の性格・子供の性格についてこれまで、各タイプについてインタビューをまじえながら、ご紹介してきました。かつてのインタビューで最期の締めくくりとして、親にして欲しかったこと・して欲しくなかったことについてうかがった記録があります。

 最後にしめくくりとして、幾つか、ご紹介したいと思います。タイプを超えた内容になっていると思います。

 ◆「価値観をわかってくれる人が欲しかった」 

「うちは親が社交的ではなかったんです。人をうちに呼ぶってこともなかったし、親戚づきあいも希薄。だからすごく世界が狭くて限られていた。
 もっと父も母も外の世界に触れていればと思うときはあります。子どものときの自分の思いといえば、自分の価値観をわかってくれる人がほしいというか。親でなくても誰か大人で、わかってくれる人が欲しいと思ったし、なんでいなかったんだろうというのはありますね。
 いまの自分が大人として子どもの自分の前にいるとしたら、わかってあげられるかもしれないなと。」タイプ1女性

 ◆「親に向かない人に親になってほしくない」

 「親に向いてない人が親になってるケースが多いですよね。うちの親なんかそのケースですけど。父親がアル中でめちゃくちゃでしたから。ただ、できちゃったからそれで親でございなんて言ってくれるなと。
 親に欠点があって当たり前だし、ふつうでいいんですよ。ただ、何かあったときに自分の子なんだから、自分の子がこういうことをされたとか、こういうつらい目にあったとか、そういうときに真正面に受け止める。
 子どもですから、親が顔色がおかしいと気づいてあげられるとか。ある程度、抑えるところは抑えてほしいというのが願望ですね。そうすれば子どもは一生、親を尊敬しますよ。一生、愛してやまないでしょう。もともと、愛しているんだから」Sさん タイプ1女性

 ◆「親には感謝」

「自分の親に対してはこうしてほしかった、ああしてほしかったというのはないです。ほんとうに一生懸命働いてくれて、子どものためにやってくれたというありがたい気持ちだけですね。
 でも、いざ自分が親になったときに、親としての未熟さというのを露呈しているので、もっと子どもが尊敬してくれるような、適切なアドバイスができたらいいなと。
 それにはやっぱり視野を広くもって、いろんな社会経験を積んでなきゃいけないんだけど、ないじゃないですか、自分自身に。そういうのにあこがれているんですよね。」 タイプ2女性

 ◆「世間一般のことを教えてほしかった」

 「世間一般のことをもうちょっと教えてほしいというのは前からあった。経済のこととか現実的な社会の仕組みとか、仕事のこととか。
 ぼくは自分が本当にやりたいことをやるのが仕事だと思っていたんですが、漫画家にはなりたくてもなれそうになかったので、結局やりたいことがなかったんですね。でも、世の中にはいろんな仕事があるというのを知っていたら、漫画家にはなれなかったかもしれないけど、出版業界には勤めることができたかもしれない。
 そういうことを教えてほしかった。いろんな選択肢があるということを知りたかった。いまから思うと、じつは親も世間知らずだったと思いますねえ」 タイプ3男性

 ◆「子どもには子どもの立場がある」

 「わたしが一番思っていたのは、子供には子供の立場があるということ。親の所有物ではないんだぞということをつねにうちの父には言いたかったですね。あなたの思い通りにならないことはたくさんあるんだということ。
 父も多分わかってたんでしょうけど、それを認めないんですよね。
 結局、その強引さがいやで、虚栄を張ってしまう自分がいるのは、父に認めてもらいたい、認めさせたい、見返してやるとか。つねにそういうのがあった」 タイプ3女性


◆「見て欲しかった、理解して欲しかった」

 「父親に対しては、自分が作ったものとかもっと見てほしかった。工作とか一生懸命作ったものを見せても、あまり見てくれなかった。興味をどうもっていいのかわからなかったのかもしれないですけど、自分を見てくれていない、理解はできなかったのかもしれないですけど、理解しようともしないというのが伝わってくるわけです。
 怒鳴ったりというのはほとんどなくやさしい印象はすごくあったんですけど。文章を書いたのを読んでくれ、感想を言ってたことはくれたことはあるんですけど、的がずれている感じがした。
 ここを見てほしいというところじゃないところばっかりの反応で、的に対して何も投げてくれない感じがする。自分なりにアピールしてたつもりなんだけど、どうも伝わらない。母親のほうにも、やっぱり見てほしかったというのはある」 タイプ4男性

 ◆「食事が豊かであれば・・・」

 「家っていう言葉のイメージに、つねに寒さと飢餓というのが付きまとう。家に帰ってくると誰もいない。暗くて電気もついていない。食べるものもない。冷蔵庫の中はいっぱいなのに子供の食べられるようなものは何一つない。
 お金だけある。父は仕事で忙しく、あまり家に帰ってこなかったし、母は自分だけおしゃれして出掛けていく。年の離れた姉はどこかに行っていてわたしひとり。
 わたしの経験論なんですけど、親子関係に問題のあった子って、食育に問題がある。自分もそうだし回りの人も。あれ、この人もの食べない、偏っている、食べ過ぎているとか、コーヒー飲みっぱなしとか。
 親になる人は自分の与える食べ物がその子の一生を左右するのだというぐらいの気持ちでご飯作ってくれるとうれしい。体だけを作るんじゃないって。
 わたしは楽しく食事をすることが難しい。ただ、食べないと倒れるので、栄養補給みたいな。ピストルに玉いれるみたいな、バイクのガソリン入れるみたいな。納豆とおひたしとか、ヨーグルトとカロリーメイト、紅茶で終わりとか。
 そういう自分が精神的に貧しいなと。でも、やっぱり作れないんですよ。教えられてないし、台所に立つのが苦しい。子供のころのトラウマで。食事が豊かであれば、もう少し暖かい感じで人と交われるんじゃないかなと思う。ぎりぎり最低限ですよね。食事のこと。」タイプ4女性

 ◆「認めて欲しかった、受け入れてほしかった」

「受け入れてくれてないという感じがずっとあった。まず、男じゃなかった時点でだめだったんです。わたしは長女なんですが、てっきり男が生まれてくるかと思って期待してたのにと。
 子どものころにそういう話を聞かされ、その時点で男に生まれてこなかったわたしはだめなんだと。父からは何かというと、悔しかったら男に生まれてくればよかったといわれていましたから。
 人間云々の以前の問題。もとが否定されたような感じ。それはすごくありましたね。そこが違うんだからしょうがないかという、あきらめみたいな。生きてればいいかみたいな。何がしたいとか、そういうのがない。
 でも、結婚して子ども生んでなんていう生活はしたくないし。一人で生きるだけのお金を稼いで、とりあえず生きていくしかないかなという感じ」 タイプ4女性

 ◆「何とか人並みに生活させてもらった」

 「母の現実的な価値観を疑わないで育ったから、なんとか人並みに生活できてるのかなというのはあります。勤め先も結婚相手も、安定したところをと。
 いま生活できているのも、親のそういうのがなかったらどういうふうになっていたのかわからない。まともに生活できているかどうかわからない。いまいうプータローとかニートというか。きつかったけど、親の価値観を疑わなかったから、できることもある」 タイプ5女性

 ◆「しつけてくれたことに感謝」

 「お金がなくてきつかった。それで結構肩身の狭い思いをして、引き気味になる子どもだったので、これってかなり大きいことかなと。お金があったら、また変わったんじゃないかなと思います。それでも親のできる範囲内のことでは愛情注いでくれたという思いはすごくある。父母両方に対して。
 感謝しているのは、ちゃんとしつけしてくれたこと。それで、不良にならなくてすんだというか。不良になる気もさらさらなかったんですが、わりとどこに行ってもちゃんとしているお嬢さんと見られるので。実際にはそうでもないんですけど、そのへんの基本的なしつけというか、言葉遣いなど当たり前なんですけど、しつけてくれたことに感謝しています」 タイプ6女性

 ◆「駆け落ちするような親であってほしくない」

 「母のおおらかなところとか、何でも笑い飛ばすとことか、そういうところはうらやましいですね。
 でも、やっぱりお母さん見たいにはなりたくないな。駆け落ちするような親にはなりたくないな。おとうさん、かわいそうだ。」 タイプ6女性

 ◆「いろんな体験を話してほしかった」

 「母親が経験したことをいろいろ話してほしかった。女性として、たとえばどういうところに気を使ったりとか、いいも悪いも経験を話して欲しかった。
 そしたら、わたしの選択肢ももっと広がったのかなと。親は一応、人生先に生きているわけだから、どんなことがあったと、何でもいいから聞きたい。あとは別にない。ふつうにしててっていう感じ」 タイプ7女性




 ◆「こういうことは言ってほしくなかった」

 「小さいとき、父からやたらに怒られたなという記憶がある。なんかわからないけど、怒られた。よく誰のおかげで食べていっているんだみたいなことを、恩着せがましく言っていた。
 あれがすごく傷ついた。だってそうしなければ、生きていけないわけだし、あれはほんとにいやだった。あんなせりふ言ってほしくなかった」タイプ6 女性

 ◆「もっと味方になって欲しかった」

 「もっと味方になってほしかったというような感覚はすごくありますね。ともかく中立なんですね、うちの両親というのは。子どもだからといってひいきをしない。身内だからといって他人と差別しないというのかな。
 そのころはあまりよくわかってなかったけど、いまはもっと全面的にぼくの味方だってあってくれてもよかったんじゃないかなと思いますね。
 ただ、ぼくの中にも正直であること、公平であること、誠実であることは叩き込まれたので、それはぼく自身にとってはよかったと思うんですけど。その反面、母が亡くなるころまでは、ぼくも家族を大事にしようと思ったことはなかったですからね。」 タイプ7男性

 ◆「主婦なら料理を作ってほしかった」

 「まず、料理がまずかった。聡明な女は料理がうまいっていいますよね。知識がないというのは恐ろしいことで、うちの母は白砂糖を極端に恐れたり、漢方薬をちょっと勉強し出したら、成長期の子どもに動物性の食品を食べさせなかったり、大豆製品と玄米だけのひどい食事だったんですよ。
 もともと料理がへただったから、食べられたものではないですよ。それからうちの中がきたなかった。整理整頓ができない。ごみも必要なものも大事なものもいっしょくた。ごみの山なんですよ。物が捨てられないんですね。 
 うちの中の物を少なくしてきれいにして、おいしいものを笑って食べられればそれでいいと思います。それがふつうでしょ。求めていることは別にふつうなんですよ」 タイプ8女性

 ◆「生まれてきてほんとによかったといって欲しい」

 「誰でもそうかもしれないけど、親はその子どもが生まれてきたことをOKとするというか、してほしいということです。わたしは生まれてこないほうがよかったのに生まれてきちゃった感じ。小さいときに、親戚の前でそれを言ったことがあった。そしたらおじだかおばだかが、なんてこと言うんですか、とんでもないって。
 それ以来、それはぜったい人前では言っちゃいけないことなんだってわかったので、言わないことにしたんですけど。どうしてって聞かれてもわからないんですけど、ただわたしがずっと思い込んでいたわけで。
 仕事でも自分がいないほうがいいんじゃないかという方向にすぐいくんですよ。ちょっと失敗しても、だからわたしはこの職場にいないほうがいいんじゃないかと。そういうことでごちゃごちゃいって、上司から怒られたことがあるんです。なんでそんな否定的なことばかり考えるんだよと。
 もしわたしに子どもがいたとしたら、まずそれを伝えたい。生まれてきてほんとによかったと。どんなふうに伝えるかというのはよくわからないけど、それだけ伝わればいいや、あとは伝わらなくてもいいやというぐらいかな。
 だから、猫にはそれを毎日言ってました。拾った猫だけど、わたしのうちに来てくれてほんとによかったと。それだけでも、子どもの中に身につけば、それでいいやと思います。ほかに大切なことなんかあるのだろうか」タイプ9女性


 


 子供が親にして欲しかったことは、子供の願い。親が子供にしてあげられなかったことは、親の限界。その親もまた、かつては子供だった。みな、傷つき、理解しようとし、理解できず、ときにふと思いいたることがある。
 誰であれ、心の限界がある。わたしたちはその限界を超えて、愛を求めようとしている。そして、愛はその限界を超えることができると期待する。
 
 あのとき、どうしてもっと互いに、いつくしみあうことができなかったのかと。後悔の涙を流すより、いまあるつながりを大切に、互いに、いつくしあいましょう。




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