2019年6月8日(土)
親の性格・子供の性格-その1
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 親は子をどこまで理解しているのか


 子供の性格を理解したい、親子関係を見直したい、自分自身の親との関係について振り返ってみたいという方のために、エニアグラムで見る「親の性格・子供の性格」について記したページです。かなり長くなります。

 親子でも性格は違っている、違っていることが多いー。これが出発点です。

 もちろん、親から子へと遺伝的に受け継がれてきたものがあり、ある家系に共通の気質のようなものが見られることがあります。生まれ育った家庭の文化や価値観の影響によって、形作られるものもあります。

 けれども、個人が持って生まれた性格の土台となっているものは、親子でも違っている場合があります。本質的な性格が異なれば、考え方や感じ方も異なり、物事の受け止め方や反応の仕方も違っています。人との接し方にも違いがあります。

 どんなことに興味を持ち、どんなことを得意とするか、またどんなことを不得手とし、どんなことにストレスを感じるかも同じではありません。どのような分野で才能を発揮し、どんなことにやり甲斐を感じるか、どんな生き方を幸せと感じるかも違ってきます。

 親子でも性格が違えば、価値観そのものが大きく違っている場合があります。それは、つまり、子供は親の期待通りに育つとは限らないということです。
 
 子供が小さい頃は、父親よりも母親の方が、子供の性格のことであれこれ思いを巡らせることになります。母親は赤ん坊が胎内にいるときから、この子は元気な子だとか、おとなしい子だったという感覚を持っているものです。生まれてから、日々成長していく様子を見ていれば、わが子がどんな気質で、どんな性格なのかをある程度はは把握できるでしょう。とはいえ、その性格をよく理解できているかといえば、なかなか理解というところまでは至っていないのではないでしょうか。
 

 子供が活発すぎても、おとなしすぎても親は不安に。

 現代の核家族化した家庭環境では、子育て中の多くの時間を母親がひとりで子どもと向き合わなければならない状況があります。若いお母さんは戸惑うことが多いでしょう。「公園デビュー」などという言葉がありましたが、幼い子どもを遊ばせるにも母親同士の付き合いが面倒だし、子ども同士がおもちゃの取り合いをしたり、けんかになると、母親たちの間でも葛藤が生じ、ストレスを引き起こすことがあります。

 子ども同士を遊ばせていれば、よその子と自分の子をついつい比べてしまうものです。わが子がよその子より劣っているように見えたり、少しでも発達が遅いように感じられると、それがまた母親にとって大きな悩みとなります。よその子と比べて、「うちの子も早くやらせなきゃ」とか「○○ちゃんに負けないようにしなくちゃ」などと、わが子を駆り立てたり、ついつい競争心を燃やしてしまうこともあるでしょう。

 わが子が思い通りに育たないと、母親は自分の育て方が悪いのではないか、母親失格なのではないかなどと悩んでしまいます。子どもが活発すぎても、おとなしすぎても不安になることがあります。

 育児にかかりきりのお母さんは、自分が社会から取り残されていくようで、焦りを感じることもあるでしょう。

 子どもが思春期を迎えれば、父親も息子や娘とどうコミュニケーションをはかればいいのかわからず戸惑います。仕事で家にいないことが多い父親の中には、ふだん家族と関わる時間が少ないだけに、いざ子どもと向き合ったときに、ぎごちない態度になってしまう人もいるようです。

 子どもの側からすれば、「お父さんは一方的に自分の価値観を押し付けてくる」とか、「こっちの話をきかず、説教ばかり」ということになりかねません。

 最近では、学校でのいじめの問題や不登校、家庭内暴力の話もよく聞きますし、成人してからも社会にうまく適応できず、引きこもり状態になっている人たちの問題が深刻化しています。家庭崩壊を物語る悲惨な事件の報道も後を絶ちません。「うちは大丈夫か」と不安になっている親も少なくないことでしょう。

 その一方で、子どもの教育に頭を悩ませている親をターゲットにした雑誌などでは、よく「頭のいい子を育てる」とか、「わが子を有名校・一流校に入れる」といったテーマの特集が組まれています。ある雑誌の表紙には、「愛される子の話し方」という見出しが載っていました。親はそういう記事の見出しを見ただけでも、もっと子どもに手をかけなければいけないのか、暢気にしていちゃまずいのかと、焦りを駆り立てられるでしょう。

 

 親には親の、子には子の、性格がある

 あなたが子どもを持つ親だとしたら、どれくらいわが子のことを知っているでしょうか? その子が持っている能力や資質、性格の長所・短所、どんなふうに感じ、どんなふうに物事をとらえているのかなど、あなたはどれくらい理解しているでしょうか?

 また、もしあなたが自分と親との関係を振り返ってみたとき、親に対してどんなふうに思っていますか? 親から理解されてきたと思いますか? また、親に対しては様々な感情があるはずです。どんな感情を抱いていますか? 父親と母親に対して抱いている感情には違いがあるかもしれません。いや、違いがあるはずです。

 親には見えていない部分があり、分かっているつもりでも、子供の側からすれば、まったく理解されていないと感じることもあるでしょう。

 エニアグラムのパーソナリティ理論は、親の側からすれば、子どもの能力や性格を理解するために役立つものです。親自身が自分の性格を見直すきっかけにもなり、それによってふだんあまり意識していない、子どもとの接し方の癖や叱り方の癖などに気づかせてくれるものです。

 子どもの側からすれば、親との関係でうまく折り合いのついていない問題の、感情的にもつれた糸を解きほぐすヒントになるかもしれません。

 子どもは一朝一夕に大人になるものではありません。子どもの成長には時間がかかります。子どもの年齢や時期に応じて、日ごろの家庭での親の言動が、徐々に子どもの内面の発達に影響を及ぼすことになります。

 また、親子関係というものは世代から世代へと受け継がれていくものです。親にもまた親がいるわけで、その親との関係における問題が、自分が子どもを持つことによって、再び浮上してくるということもありえます。

 母親になった女性のなかには、自分が子どもを育てるようになって始めて、それまであまり意識してこなかった自らの育てられ方についても振り返るようになったという人がいます。子どもが生まれるまでは、自分と親との間にはとくに何の問題もなかったと思っていたのに、いざ自分が親になってみると、あのとき親からあんなことを言われた、こんなことをされたというのが記憶のなかから蘇ってきて、自分ならわが子にそんなことは言わない、こんなことはしないという思いから、自分は親にずいぶん傷つけられてきたという思いに至る人も少なくありません。

 わが子の性格について理解したいという動機から、エニアグラムを学び始めた人が、子どものことよりむしろ自分と親との関係のほうに問題があったということに気付かれることもあります。そういった気づきは、ある種の痛みを伴う感情をもたらすものです。

しかし、その心の痛みはさらなる苦しみにつながるのではなく、むしろわが子を理解することにつながり、本人にとっては癒しとなるものです。親には親の限界があったのだということにも気づくようになります。




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