2020年6月25日(木)
【エニアグラム入門】センターって何ですか?
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Q:エニアグラムでセンターという言葉を聞いたことがあります。センターって何ですか?


A:精神の働きには三種類があります。頭の知性、感情の知性、身体的な知性。その知性の宿る場所は、頭・胸・腹に対応しています。ヨガのチャクラとも共通する部分がありますが、まったく同じというわけではありません。

ここでは少し長くなりますが、わたしたちがセンターの機能をどのように働かせているか、またそれがどんなことに影響しているのかを説明してみましょう。

たとえば、「Aさんとはなんとなくわかりあえる。でも、Bさんとは長い付き合いだけど、今一つ話がかみ合わない」といったそんな体験はありませんか?

初対面の相手でも、すっと話が通じる感じのする人もいれば、知り合って長い付き合いになるけど、なんだか分かり合える感じがしない、という人もいるのではありませんか?

また、「馬が合う」とか「合わない」とか。それは、性格的に合う合わないといった感じではないですか?

そういうものがどこからくるのか、エニアグラムのタイプとセンターの考え方からわかります。

「知に働けば角が立つ,情に棹させば流される,
意地を通せば窮屈だ、とかく人の世は住みにくい」


これは夏目漱石『草枕』の冒頭に出てくる名句ですね。あまり頭がよくても、頭で割り切った考え方をしたり、知性が勝ちすぎても、人間関係では角が立つ。感情で受け止め、情にほだされるようなことがあれば、ただただ流されてしまう。かといって、自分の意思を通そうとすれば、世の中窮屈だ、というわけです。

※「情に掉さす」というのは、「流れに掉さす」の「掉さす」で、これは流れに乗って進むようにすることなんだそうですね。だから、情に掉させば流されるってことになるわけです。

感情を働かせれば、ただただ流されるだけかということはないと思いますが、頭の知性・感情・意思のどれを使っても、その使い方に偏りがあれば、人間関係はなかなかうまくいかない、というのはそのとおりでしょう。

知情意は、頭の知性、感情の知性、意は意志の宿るところで、腹のエネルギー、身体的直観、あるいは体の知性と呼べるものです。

このどれもがバランスよく働けばいいわけですが、わたしたちはなかなかその三つの機能をうまく使えていないというのが、エニアグラムの考え方です。


知情意から見た性格のタイプ

ということで、エニアグラムの9つのタイプを、三つのグループに分けてみます。

これは人の体です。知情意の知、は、身体的には頭に宿っている。頭の知性。「頭で考える」と言いますね。

知情意の情は感情の知性、身体的には胸に宿っている知性、ハートの知性と言えます。

感情の知性。EQについてどこかで情報を得たことはありませんか?

Emotional Intelligence Quotient 指数

日本語では「こころの知能指数」と訳されていますね。エモーショナルだから、感情の知性ですよ。1980年代後半にアメリカの研究者によって発表された理論です。日本でも一時期かなりブームになりました。

(1989年に米国イェール大学のピーター・サロベイ博士とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士によって、初めて論文で発表された理論。)

知能指数で測られるような知性だけではなく、感情にも知性があるというわけです。社会にうまく適応していけるのは、必ずしもIQの高い人ではない。むしろ、EQが高い人がビジネスを成功に導くといったことが、注目を浴びたわけです。

IQのことを言われても、どうしようもないけど、EQならあげられるのではないかと、多くの人が思ったと思います。だから、当時大流行したのでしょうね。

そして、三番目の「意」。

知情意の意は、体の知性です。身体的には腹にやどる知性です。日本には腹の文化というのがあります。丹田に力を入れるとかね。腹のエネルギーを発動しないと意志を貫くことはできないわけです。

この知情意という、どれも知性であり、精神機能です。エニアグラムでは、どの機能と最も関連が深いかということから、9つのタイプを三つのグループに分類するわけです。

こんなふうになります。
エニアグラムでは思考センター・感情センター・本能センターと呼びます。

思考センターは、頭脳センター、ヘッドセンター
感情センターは、あまり胸とはいわず、ハートセンター
本能センターは、体センターとか、ガッツセンター。ガッツとは内臓、はらわたのことしょう。ガッツがある、といますよね。

タイプ8・9・1 本能センター
タイプ2・3・4 感情センター
タイプ5・6・7 思考センター



誰でも知情意の三つの精神機能は働いているわけですが、タイプによって特徴があります。

まず、各センターの機能について。

【本能センター】:腹のエネルギー、身体的直観、ガッツ。意思の力で行動するには、このエネルギーが必要です。

「腹が座っている」という言葉がありますね。私たちは自分自身の体とつながっていると、地に足の着いた状態でいられます。その中心が腹です。

腹のエネルギーがもつれると、怒りがわいてきます。

タイプ8・9・1は本能センターのタイプです。この人たちはわりと体感覚があります。頭の中の思考を使って考えるというよりも、また感情の部分で感じたり、味わったり、というよりも、本能的直観で判断を下す。理屈ではありません。

本能センターのタイプは、自己感覚が体感覚とほぼ等しいと言ってもいいかもしれません。「私とは私の体である」 求めるのは自立です。

他人に自分のテリトリーに侵入されたくない、干渉されたくない。自立していたいわけです。

つぎは感情センターです。




感情センターは、自己イメージと他者への関心が強い。

感情の機能は自分の気持ちに触れる、人と気持ちを通わせる、情緒的なものを味わうといったことです。

タイプ2・3・4は感情センターのタイプです。この人たちは感情が大事です。

好きとか嫌いとか、うれしいとか悲しいといった感情です。健全だと感情のバランスがとれています。思いやり、共感能力があります。この人たちが求めているのは、自己イメージどおりの自分です。

そして、他人からの関心を求めています。他人は自分を映す鏡です。

だからこの人たちは、他人に関心があります。他人に関心があるけど、一番関心があるのは自分!です(誰でもそうですけど)。

その水面下には、恥の感覚があります。羞恥心、「恥ずかしい」という感覚です。なぜかと言うと、自己イメージとしての自分と実際の自分は違っているかもしれない、その間にはギャップがあるかもしれないということに、薄々気づいてしまっているからです。

感情センターの人たちはとくに、自己イメージへのこだわりがあります。自分をそのように見せたい、人からそう思われたい。そういう自分を人に見せる。けれども、誰でもそうですが、本心とか、人に見せている自分ではない自分の、その姿を見られたら恥ずかしい、見られたくないという、部分があるでしょう。

もし、そんな自分を人から見透かされたりすると恥ずかしいと思いませんか。

自分がイメージ通りに見られているかどうか、不安もありますね。恥の感覚と不安がいりまじったような‥…

次は思考センターです。

タイプ5・6・7は思考センターのタイプです。

頭のなかの思考機能と関連の深いタイプです。

頭で考えるタイプというと、「考える人」と呼ばれることもあったタイプ5が典型のように思われがちですが、タイプ6もタイプ7も、本能や感情よりも、思考を使っています。

頭の中がクリアな時は、インスピレーションが下りてくるでしょう。思考空間はあらゆる可能性に開かれています。

ただ、頭の中の思考はリアリティから離れ、バーチャルな空想へ、ときに妄想的な世界に入っていきやすいとも言えます。

頭の中の思考というのは今ここで起きていないこと、起きるかもしれない可能性のあることについて考えます。推測や予測をするものです。過去のことを考えるにしても、こうだったかもしれないという「かもしれない」可能性や推理を働かせます。思考のセンターのタイプは、未来指向です。

この人たちは導きを求めています。自分を導いていってくれる何かです。

タイプ5は知識や情報を集め、論理的に筋道立てて考えます。より深く知ろうとします。

タイプ6は様々な可能性について考えます。どちらかというとネガティブな可能性について考えるでしょう。そのため、心配性の人になってしまうことがあります。この人たちは自分の外に頼れる指針や導きを求めます。

タイプ7はいろんなプランを立てます。楽しい計画、未来の明るい可能性について考えます。

思考センターのタイプでない人からすると、これらのタイプの人のいうことはどこか理屈っぽいと感じられることがあります。

人とのコミュニケーションで、ノンバーバルな、非言語的な部分で、お互いにわかりやすいと感じるのは同じセンターの人であることが多いです。


「腹を割って話そう」というのは、本能センターの言葉、

「胸襟を開いて」「胸を開いて話そう」「気持ちの触れ合いこそ大事だ」「本当の気持ちを伝えよう」というのは、感情センターの言葉、

「意味が分からない」「どういう意味」「納得できない」などは、思考センターの言葉と言えるでしょう。


 


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