2020年2月24日(月)
本能・感情・思考 3つのセンターとエニアタイプについて
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センターの機能と各タイプの特徴、またいくつかのタイプに共通する特徴について


エニアグラム図の内側の線の結びつきに着目してください。ポイント3-6-9を結ぶ線が、正三角形を形作っています。


  タイプ探しをしているときにわかりにくいタイプがあります。その一つがセンターの違いによる分類と、この三角形の頂点にある3-6-9のラインにあるタイプの特徴です。




  これらのタイプは、各センターの真ん中にありながら、そのセンターの働きをとらえにくいです。タイプ3、タイプ6、タイプ9は、ふだんは自分のセンターのエネルギーを自覚していないタイプという点が共通しています。自分ではそのセンターの機能を使っていることに気づきにくいタイプなのです。

 ※これら3つのタイプに共通する特徴についての詳細は、センターの不均衡のところで説明します。

 正三角形の頂点に位置するタイプ3・6・9の3つのタイプは、各センターの真ん中に位置していますが、
 

◆本能センターの各タイプは、腹の中に怒りを抱えている

 本能センターの各タイプは腹の底に怒りを抱えています。本能センターの怒りは一種のエネルギーであり、身体感覚によってとらえられます。タイプ9を真ん中に、両サイドのタイプ8とタイプ1が本能センターですが、それぞれに怒りのとらえ方、表現の仕方が異なります。

タイプ8は怒りを発散する

 タイプ8は自分の怒りを表現することを恐れません。腹が立てばすぐ怒り、怒れば「自分は怒っている」という態度を示します。タイプ8の人が怒っていると、周りは「恐い」と感じますが、彼(彼女)の怒りは、それほど後をひきません。怒ったあとに、ケロッとしているように見えることもあります。

タイプ1は怒りを抑圧する

 タイプ1は怒りをコントロールしようとします。腹が立っても、「怒ってはならない」と思い、自分でその怒りを抑制しようとします。しかし、それで怒りそのものが消えてなくなるわけではなく、腹の底ではふつふつと沸き立っています。タイプ1の人にとっては、それがイライラとなって現れます。口では「自分は怒っていない」といいながら、握り拳を固くし、歯を食いしばっていたりするのです。

タイプ9は怒りを切り離す

 タイプ9は本能センターの真ん中に位置するタイプです。タイプ9は自分のなかの怒りになかなか気づきません。たとえ、怒りを感じても、それを自覚するまでに時間がかかります。腹が立った時と、「自分は怒っている」と感じたときとの間にはタイムラグがあるのです。「あのとき怒っていたみたい」と自覚するのが、一週間後だったり、一カ月後だったりします。何年かたってから、「今から思えば、あのときは腹が立ったなあ」と述懐する人もいます。

 タイプ9の人は自分を思考センターのタイプ5や感情センターのタイプ4と間違えることがあります。どちらも対人態度から見た分類では、自分の世界に引きこもる傾向のある遊離型です。

 タイプ9は本能センターのタイプでもあり、本来はガッツがあり底力のある人なのですが、自分ではエネルギー不足と感じやすく、「電池切れ」のように思い込んでいることがあります。

 タイプ9は本能センターでありながら、ふだんは自らのセンターの機能から切り離されたような感じになります。


 
◆感情センターの各タイプは自己イメージにこだわりを持つ

 感情センターの各タイプは、自己イメージを大事にするイメージコンシャスなタイプです。彼(彼女)らは、自分自身について、そこはかとない恥の感覚をも抱いています。自らのアイデンティティ―(自分らしさの感覚)に揺らぎがあります。

 タイプ3を中心に、両サイドのタイプ2とタイプ4が感情センターです。それぞれに「自分はこういう人と思われたい」というところからくる自己イメージが異なります。自らのアイデンティティーへの不安、自分は何者なのかという確かな感覚の揺らぎがあるのです。

タイプ2はいい人であろうとする

 タイプ2は、自分は「いい人」「善人である」という自己イメージを持っています。そして、自分のなかの肯定的な感情だけを表現しようとします。他人が何を必要としているのかということについて敏感です。それが、他者への思いやりや気配りとなって表れます。

タイプ4は自分を特別な人間と見なす

 タイプ4は、自分の内面の感情の揺れ動きに敏感です。抑うつ的な気分にとらわれやすく、よく「落ち込む」とか「傷ついた」と言っています。そういう気分でいるときが、自分らしいと感じています。そして、ときに自分自身の感情や気分の波に巻き込まれることがあります。自分は他の人とは違う、ちょっと変かもしれない、何か特別なところがあるという自己イメージを持っています。

タイプ3は、価値ある人間であろうとする
 
 タイプ3は価値ある人間であろうとします。タイプ3は「目標を達成する人」「成功を求める人」と呼ばれることがありますが、社会的に有能で魅力があり、周りから評価され、認められている人間が価値のある人ということになります。タイプ3は自己の価値を高めるために、仕事などでの成功を目指します。
 目標を達成し、成功するためには、効率よく働かねばなりません。いちいち自分の中にある繊細な感情に触れていては、効率よく働くことはできません。そこで、タイプ3の人は自分の感情を切り離し、機能的に行動するのです。それがこのタイプの人を「テキパキした」行動に向かわせます。

 感情のセンターのタイプでありながら、自分の内側から湧いてくる感情を切り離しているというのがタイプ3の特徴です。人からこう見られたいという理想の自分をイメージし、そのイメージに合わせて行動します。素顔の上に理想の自分の仮面をつけ演じているような感じです。



◆思考センターの各タイプは頭の中に漠然とした不安と恐れをもつ

 思考センターのタイプは、頭の中の思考空間で物事を受け止めているところがあります。頭の中に漠然とした不安や恐れのようなものが浮かびやすいタイプです。

「考える」ということは思考回路を通して行われるものです。しかし、ふつう「考え事をしていた」とか、「自分の考えはこうだ」というとき、じつはそれは思考されたものではなく、ただぼんやりしていたとか、過去の経験からこうだったという意見や信念のようなものにすぎないことが多いのです。あるいは、ただただ頭の中に雑念が浮かぶがままになっていたというような状態を「考え事をしていた」といっていることが多いです。

 思考センターを理解する上で、とりわけタイプ5を理解する上で、まず「考える」とは何なのかということを明確にしておかなければなりません。
 
◆タイプ5は知識や情報を集める

 タイプ5は「考える人」と呼ばれることがあります。「考える」ということは、論理の筋道を追って考えるということです。思考回路とか思考のプロセスを追って物事を認識するのです。そうすると、人が本当に頭の中の思考を介して考えているときには、囲碁や将棋をやっている人のように「じっくり考える」ことになり、結論がでるまでには時間がかかります。人は本当に考えているときには、すぐに行動に移れるものではありません。

 こういった思考というものの特徴を把握しておかないと、自分はよく考え事をするとか、知的な仕事をしているから、タイプ5だというような判断を下してしまうことにもなりかねません。

 エニアグラムの9つのタイプの記述を読んで、またチェックリストで当てはまる項目が一番多かったという理由で、自分はタイプ5だという人の中には、じっさいにはタイプ5ではない人も多く混じっていると考えられます。タイプ5であればおそらく、すぐには結論はださないでしょう。

 タイプ5の人は、抽象的な言葉をよく使います。抽象的とは、個々のモノや事柄から、共通のものを抜き出して一般化した表現です。これも思考の特徴です。抽象化され表現は、当然ながら具体性に賭けているので、他人にはわかりにくいものになります。

 タイプ5の人は不安を解消するために、知識や情報を集め、自分の頭の中の思考空間に引きこもり、考えようとする傾向があります。「知る」ことで見通しを立て、安心を得ようとするわけです。

◆タイプ7は未来の明るい可能性に期待する

 タイプ7の場合は、思考が行動と結びついていきます。身体が動くよりも先に、頭のなかの思考の方が速く廻ります。タイプ7の人は「頭の回転が速い」といわれる所以です。タイプ7の早口は頭の回転の速さを表しています。いまこの場所にいながら先のことを考えていることが多いので、「計画倒れ」「アイデア倒れ」ということも起きやすくなります。

 タイプ7がポジティブシンキングなのは、頭の中の不安を解消するために、起こりうる「いいこと」だけを考え、先の明るい可能性に期待するからです。

◆タイプ6は何か頼れるもの、導きを求める

 タイプ6は思考センターの真ん中にありながら、ふだんはあまり自分が頭の中の思考を介して物事をとらえているということを意識していません。

 タイプ6の人は自分をタイプ2やタイプ4と間違えることがよくあります。「自分はいつも気を使っているし、気配りもしている。他人の気持ちにも敏感で、相手の気持ちを思いやるところがある」という理由から、自分を感情センターのタイプとみなす人もいます。

 感情の機能で物事を判断するときには、好き嫌いや自分のフィーリングに合うかどうかが基準になりますが、思考タイプの場合の判断基準は、感情センターのタイプのそれとは異なります。

 もし、あなたがタイプ6であれば、視覚的にキャッチする情報から、物事を判断していることがあるはずです。たとえば、人に気を使うというのも、相手の気持ちを受け止めるというよりむしろ、「いま、あの人はちょっと顔をしかめた。何か嫌な思いをしているのではないか」というように。

 タイプ6はタイプ7とは逆に、物事をネガティブに考える傾向があります。未来の起こりうるマイナスの可能性に焦点が合いがちです。そうなると不安も強まります。

 タイプ6はその不安を解消するために、何か頼れるものを求めます。それに従っていれば、自分が安心安全でいられるような何か、それは組織や団体、権威のある個人、何らかの信念・信条、規範・ルールといったものかもしれません。




 センターとのつながりを感じるエクササイズ

 思考・感情・本能の3つのセンターは、それぞれ頭・胸・腹という身体の部位に対応しています。そのことを実感するために、ぜひ取り組んでいただきたいエクササイズがあります。



 これはあなたのからだに意識を向けるエクササイズです。椅子に腰かけるなり、床に座ってあぐらをかくなりして静かに座し、次のような流れでご自分の内側の感覚を感じてみてください。(結跏趺坐ができればそれもよいでしょう)

 ・まぶたの力を抜くような感じで、軽く目を閉じましょう。

 ・眉間の力を抜いて歯の噛み合わせを楽にします。

 ▶ゆっくり深呼吸をしてください。 (鼻から吸って鼻から吐いて、鼻から吐きづらい場合は、上下の唇を薄く話して、口から吐きましょう)

 ・ゆっくり深呼吸をしながら、自分の身体を感じていきます。

 ・座っているお尻の感覚、床に足のついている感覚がありますか?

 ・腕の重さを感じて、重力を感じてみましょう。

 ・ゆっくりと深呼吸を続けてみてください。

 ・それから、頭のなかを意識してみてください。

 ・頭のてっぺんから頭のなか全体を感じていきます。

 ・顔・耳・後頭部を感じてみます。

 ・首・肩。肩から腕、ひじ・手の甲・ひらまでを感じていきます。

 ・また腕から、ひじ、上腕部、肩にもどってきます。

 ・今度は肩から肩甲骨・背中へと意識の流れを向けていきます。

 ・のどから胸のあたりも感じてみます。胸全体をゆっくり感じてみます。

 ・さらに、意識を下に向け、胴体から、お腹、お腹のなかの感覚。

 ・腰からお尻にかけて、

 ・さらに太ももから、ひざ、すね、かかと、 足の甲、足の裏、つま先まで、
  流れるように意識をもっていきます。

 ・ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、全身を感じてみてください。

 ・そして、今度は逆に、足の先から、ひざ、腰、お腹へと、
  意識の流れを向けていってください。

 ・ふだん、あまり意識していない身体の内側を感じます。

 ・呼吸に関して、胸の呼吸とお腹の呼吸の違いを味わってみてください。

 ・身体の内側に意識をめぐらせたら、最後に頭のなかの思考と胸のあたり
  のエネルギー、お腹のエネルギーをつなげて、
  同時に感じるようにしてみてください。

 ※これは5分ぐらいあればできる、簡単な黙想です。

 自分のからだに意識を向けると、からだのどこかに凝りや痛み、場合によっては麻痺を感じることがあります。 熱っぽく感じる部位があるかもしれません。そういうときは、あなたの身体が何かを告げているのだと思ってください。

 たとえば、目のまわりが熱いというときは、目を酷使した状態なのかもしれません。痛みや麻痺を感じる部位は、そこに炎症や神経の問題が潜んでいるのかもしれません。そういう場合は早めに対処し、その部分を休ませ、ケアしてあげたほうがよいでしょう。

 エニアグラムは本来、瞑想やヨーガともつながっているものです。グルジェフは神聖舞踏と呼ばれる一連のダンスのような動きを取り入れていました。オスカー・イチャーゾはヨガ的な動きを取り入れた一種の体操のようなものを考案しています。クラウディオ・ナランホにおいても、リソ&ハドソンにおいても、「いまここに意識を向ける」「いまここにある」というマインドフルネスの実践が重視されています。

 上にあげた簡単な黙想は、2000年以降、ヨガの修行を始める前に、筆者がワークショップの中に取り入れていたものです。当時まだ、オウム真理教のテロ事件の記憶があり、マインドフルネスがはやる以前のことでもあり、ヨガや瞑想的なものは取り入れにくい雰囲気があったために、なるべく簡単なやり方にしていたのです。

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 ⇒センターの不均衡について-1:センターの不均衡とは 

 ⇒センターの不均衡について-2:タイプ1、タイプ2、タイプ4

 ⇒センターの不均衡について‐3:タイプ5、タイプ7、タイプ8 

 ⇒センターの不均衡について-4:タイプ3、タイプ6、タイプ9 準備中

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