2020年3月26日(木)
新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛要請時のエニアグラムワークについて。
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不安は頭の中に湧き上がる


今年のエニアグラムサロンは「人はなぜとらわれ~抜け出せないのか?」という疑問から出発しています。性格そのものの囚われ(自我の防衛)、感情の囚われ(パッション)、思考の歪みあるいは認知の歪み(固着)という点から、囚われを考察し、個々人のなかにどのような囚われがあり、その囚われを超えていくための気づきのエクササイズを行うという流れです。

しかし、新型コロナウイルスの問題で、3月4月のエニアグラムサロンは開催できなくなりました。ワークショップの形式が、三つの円の真ん中の、まさに高リスクの形になりますので、当初は楽観視していたものの、5月もおそらく開催はできないだろうと思っています。

そこで、お伝えしておきたいことがあってこの記事を書いています。

前回2月ですが、センターの不均衡についてとりあげました。本能・感情・思考という三つのセンターの機能を私たちは通常、あまりバランスよく使えていない。その使えていないあり方には、タイプによって特徴がある。と、リソ&ハドソンによってよく整理された理論があります。

一つは自分のタイプのセンターの機能を隣のセンターの機能と、いわば”ごたまぜ”にして使ってしまう。一つは自分のセンターの機能を通常は使っていない、そのセンターの機能を切り離し、残りの二つのセンターの機能の”ごたまぜ”状態を使っている。英語ではスクランブルという言葉が使われていたかと思います。

この各タイプにおけるセンターの不均衡とはちょっと違った角度から、新型コロナウイルスと私たちの置かれている状態について考察してみたいと思います。

 目に見えないウイルスが与えるのはた不安ですね。いつどこで感染するかわからない、しかも現在ますます感染者が増えているらしい。この不安を持ちながら、できるだけ外に出ないようにという、外出自粛が要請されています。

 外出自粛の期間が長引くほど、運動不足になり、本能センターのもつれが生じます。動かないから疲れない、でも頭の中にはつねに漠然とした不安があり、家にいても快適とはいいがたいところがある。加えて、動かないので疲れないし、疲れないと眠れなくなる人も出てくるでしょう。

 家にいてすることは、テレビを見たり、ネットでコロナウイルス関連のニュースなどを検索する。情報を集めるのだけれど、そのなかにはデマなども含まれている。

 このような状況では、思考センターの機能が健全な状態で使われていないことがあります。
「なんとなくもやもやする」という状態に、本能センターの機能が適切に使われていないと思考機能は適切に使われず、妄想の世界に入っていく可能性があります。


本能センターのダメージを大きくしない


 おすすめしたいのは、不安やもやもや、眠れない状態は、本能センターの機能を少しでも健全に働くように持っていくことです。体を動かす、運動をする、外の空気に触れるということが、外出自粛ではできにくいわけですから、自宅でストレッチやヨガのアーサナを行うのがいいでしょう。眠れなくて、何もできなくて、という状態のときは、寝て起きてというスペースさえあれば、全身くまなくストレッチやちょっとした筋トレのようなこともできます。

 そして、自宅ならできるのが呼吸法ですね。深い呼吸を繰り返す。瞑想をするというと、そこまでなかなかいけないかもしれません。ただ、呼吸に意識を向けて、5分ぐらい静かな時間を持つ。タイプ論ではない、自己変容のためのエニアグラムの知恵が役立つのはこういう時です。

 頭の中の思考が迷路に入り、漠然とした不安感のただよう空想のような妄想のような世界に入っていかないように、深い呼吸をすることで、自分自身をいまここに呼び戻しましょう。

 誰にとっても必要な本能の支えを崩さないためには、食生活のバランスも崩さないようにしたいものです。外出が少なくなるほど、食事の工夫ができます。買いだめたり、買い占めたりすることに走るのではなく、今置かれている条件の中で、栄養バランスのとれた食事をするための工夫をしたい。そのために思考を使いたいです。

 外出自粛が長期にわたると、本能センターのダメージも大きくなりかねません。そうなると、さらに思考センターの機能が適切に使われず、不安や妄想が膨らんでくる可能性があります。

ハートセンターの資質である思いやりをもって


 そこで、もう一つのセンターについて意識を向けてみましょう。今回のコロナウイルス流行のもとでは、幸いなことに私たちの多くは、まだ感情センターのダメージを受けていません。私たちは現在のような不安な状況の中でも、ハートの機能をコロナウイルスに侵されることなく、自由に使うことができるのです。

 私たちは思いやりをもてるのです。気遣いができるのです。不安な人を慰めることもできます。外出自粛の今だからこそ、静かにたたずみ、自分自身のハートに触れることもできるのです。

 電話やSNSで離れたところにいる家族や友人に連絡してみませんか。あなたから「こんな時期だけどどうしている?」と声をかけてみてはいかがでしょう?

 周りの人に対してもふだんより、やさしくなれるときだと思います。

 思いやりを大切にし、感情(ハート)センターを守りましょう。

 感情センターもダメージを受けてしまうと、自分だけよければいいと言った買い占めに走ったり、偏見や差別的な見方に囚われてしまうでしょう。

 頭の中の不安は、身体に緊張をもたらし、呼吸を浅くします。

 肩の力を抜いて、胸に手を当て、静かに呼吸し、自分自身を落ち着かせましょう。やさしさを感じてください。
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