人が陥りやすい感情的な囚われがあり、その傾向が9つに分類される
あなたは怒りっぽい人ですか?
見栄っ張りですか?
欲張りな人ですか?
それとも、怖がりですか?
あるいは、怠け者ですか?
エニアグラムの9つのタイプは、わたしたちが陥りやすい感情的な囚われがもとになっています。
オスカー・イチャーゾという思想家が、人間の陥りやすい感情的な傾向分析し、感情の囚われとして9タイプに分類し、エニアグラム図の上に配置しました。イチャーゾはエニアグラム図を発見したグルジェフの思想の影響をその背景に持ちながら、独自のパーソナリティシステムを創始しました。
では、9つの感情的囚われとはどういうものでしょうか?
それは、怒り、高慢、虚栄、妬み、強欲(溜め込み)、恐れ、貪欲、肉欲(過剰な欲望)、怠惰の9つです。
キリスト教では「7つの大罪」というのがあります。人が陥りやすい罪の傾向が7つあるというわけです。上にあげた感情的な囚われはこういったものとも関連があります。
「7つの大罪」というときの”罪”とは、法で裁かれるような罪のことではありません。それはキリスト教的な文脈で言えば、人間が神から離れて堕落する傾向を表しています。それが罪の傾向と呼ばれているものです。3,4世紀のキリスト教の著述家が、修道者が陥りやすいこういった感情的傾向について言及しています。
では、イチャーゾが分類した9つの感情的な囚われで、7つの大罪に含まれなかった2つとはどれでしょうか?
それは、虚栄と恐れです。これら二つの囚われは、あえて罪の傾向として挙げるまでもなく、あまねく人の持つ感情の囚われであると考えられていたようです。
さて、イチャーゾはこれら9つの感情的な囚われをエニアグラム図の上に配置しました。それがベースとなって、自己探求からビジネスジャンルまで、さまざまに活用されているエニアグラムが発展してきました。
図で表すと次のようになります。

あなたはこれらのうち、どのような傾向が自分の中で一番強いと感じられますか?
自分にはそのような感情的な囚われはないと思われますか?
以下の簡単な説明を読んでみてください。どうでしょう?
タイプ1:怒り
ふつふつと沸きあがる怒り、いつまでも消えない。それがイライラや欲求不満となり、抑うつ的になる。怒りは同時に周囲の人々に緊張とストレスを生じさせる。
タイプ2:高慢
自分には何も問題はない。自分は他者をサポートする側の人間である。自分は”いい人”で十分に謙虚である。与えるが受け取らない。自分は与える側で合って受け取る側ではないという思い上がり。
タイプ3:虚栄
自分の価値を高めるため、自分を優れた者に見せるため、実際以上に自分を膨らませる。他人の前で仮面をかぶり、演技をする。
タイプ4:妬み
自分に欠けていると思われるものをもっている相手に向ける暗く激しい感情。自分にない才能を持つ相手やときに自分に近しい相手で自分がこうありたいと望んでいるようなものを手に入れている相手の破滅を望む暗い情念。
タイプ5:溜め込み(強欲)
けちくさく、人に分け与えない。知識や情報を抱え込み、他者との温かい心の交流を避け、自分自身の中に引きこもる。
タイプ6:恐怖
頭の中の漠然とした不安が、何らかの対象と結びつき、その対象が自分を脅かすと感じる。自分のなかの恐れを他人に投影する。最も恐れていた結果を引き起こす。
タイプ7:貪欲
あれもこれもを欲する。一つのものを手に入れたら、すぐまた次のものが欲しくなり、永遠に満足するということがない。それはモノに限らず、経験にも及ぶ。
タイプ8:肉欲
限界までやる。限界まで追い詰める。容赦なく、とことん打ちのめす。自分の力を誇示し、対象を支配しようとする過剰な欲望。
タイプ9:怠惰
当然なすべきことを行わない。怠り。とりわけ自分を成長させようとする取り組みをしない。自分をマヒさせるような精神的な怠惰。
わたしたちは半ば無意識のうちにこれらの感情の囚われに突き動かされているものです。エニアグラムは自分がどういった感情的な囚われに陥りやすいかを理解することによって、そういった感情の囚われからの解放を目指すと同時に、本来そなわっている美徳ともいえる潜在的な可能性に気づかせてくれるものです。