2019年3月3日(日)
エニアグラムファシリテーションのために ➁
img01
エニアグラムメディエイターのための指針 ステップ4

【ステップ4】
・ホーナイの三つ組み(自己主張・追従・遊離型)について理解している。
・自分のタイプがどの型に入り、どのような特徴を持つかを他の型との関連
で説明できる。
・ハーモニックグループ(肯定・合理・反応型)について理解している。
・自分のタイプがどの型に入り、どのような特徴を持つかを他の型との関連
で説明できる。
・ホーナイの三つ組み、ハーモニックグループ、ならびにセンターの三つ組み
を複合的に組み合わせた理解と、説明ができる。


イチャーソのエニアグラムを現代心理学的な用語で説明したクラウディオ・ナランホは、エニアタイプについて新フロイト派のカレン・ホーナイの対人態度についての理論を用いて説明しています。リソ&ハドソンの研究の中でも、ホーナイの理論に基づいて9つのタイプが三つの共通グループに分類されています。この分類はエニア図の上でもバランスが取れ、美しい三つ組みを形作っています。

自分が対人態度においてどのような傾向をもつのか、当然のことながらファシリテーターは理解していなければなりません。たとえば、ワークショップにおいて、自己主張型であれば自分がしゃべりすぎているかもしれない。追従型であれば、ある種、個々はこういう場所ですよという暗黙の規律やルール、空気を読むべき雰囲気を醸し出しているかもしれない。遊離型であれば、強烈な個性を持つ参加者からついつい引いてしまう、ことによって、参加者のなかには、受け入れられていない印象を持つ人もいるかもしれない。加えて、自らのタイプの傾向というものがあるわけです。

ファシリテーターはある程度、対人態度においては自分の傾向をゆるめて、あくまでニュートラルな態度を保つことが必要になってきます。もちろん、本来の自分の傾向を否定せよというわけではありません。ファシリテーターの個性があり、受講する人はそのファシリテーターからエニアを学びたいという人もいるわけですから、それぞれの良さがあります。けれども、自分の個性を生かすことと、ファシリテーターとして場を提供することとはある程度分けて考える必要があるでしょう。

ハーモニックグループはリソ&ハドソンによる分類です。問題解決法、トラブル処理における共通グループですが、これはある程度、自己診断チェックリストで割り出せますが、ワークの中でエクササイズをやることによって、参加者の方々の気づきが深まるテーマです。(筆者の学生を対象としたワークにおけるこれまでの経験から)

もちろん、ファシリテーターは自分がどのタイプかを自覚しておく必要があり、またファシリテーターとしてはこれら三つのどのタイプにも同一化せず、ニュートラルな対応が必要になってきます。

センターの三つ組みについてのエクササイズを取り入れたワークに続き、ホーナイの三つ組みによる自己理解が進めば、これら2つの理論を組み合わせ、センターとホーナイの三つ組みを掛け合わせた形での、各タイプについての解説ができます。

 ⇒対人態度:ホーナイの三つ組みについて

 ⇒ハーモニックグループ(リソ&ハドソンによる):問題処理における共通グループ





エニアグラムメディエイターのための指針 ステップ5

【ステップ5】
・エニアグラム図の内側の線の結びつきや各タイプの位置関係について説明
できる。
・自分のタイプについて、統合の方向と分裂の方向の意味について理解して
いる。
・9つのタイプの統合の方向と分裂の方向について把握できている。
・ウイングのサブタイプについて、自分はどのサブタイプかを理解している。
・18のサブタイプについて、ニュートラルに説明できる。


エニアグラム図について、円の内側の線が何を意味するのか。3の法則と7の法則について、循環小数について簡単に説明できるようにしておくとよいでしょう。しかし、内側の線の方向の重要性は、各タイプの内的な動きについての理解を深めておくことです。統合の方向・分裂の方向と呼ばれた線の結びつきは、「分裂」ということばがネガティブなため、エニアグラム教師の中では別の言葉に置き換えることが多く、「解放された状態」とか「ストレス時の心理傾向」といった表現もされています。

もちろん、お気づきのように「分裂の方向」を一回りすれば、それは統合の方向にあるタイプにつながっているわけです。ワークのなかで、自分の内面の状態と変化を探っていけるようなエクササイズを取り入れ、エクササイズを終えた後の説明に、統合・分裂の方向について、タイプごとにその内面の動きを説明していけば、参加者が自らの内面の状態に、より意識的になり、エニアグラムならではの気づきが得られるでしょう。

ファシリテーターはもちろん、自らの内面の状態についても意識化できていると同時に、すべてのタイプの統合の方向・分裂の方向について、これもニュートラルに説明できる必要があります。

さらに、ウイングのサブタイプについての説明ですが、これは9タイプの特徴、センターの三つ組み、ホーナイの三つ組みについての理解ができていれば、おおむね説明できます。ウイングのサブタイプは、自分ではとらえにくい場合があります。どちらも自分の中にあるように感じられる人も多いようです。また、ウイングがあまり感じられず、タイプの”どまんなか”のように感じる人もいます。

ウイングのサブタイプは18タイプになります。リソ&ハドソンの分類を参考にするとよいでしょう。

ウイングのサブタイプは適材適所・適職診断などにも利用できます。

 ⇒統合の方向・分裂の方向

 ⇒ウイングのサブタイプ



エニアグラムメディエイターのための指針 ステップ6

【ステップ6】
・自分のタイプのパッションと美徳を理解している。
・各タイプのパッションと美徳について、ニュートラルに説明できる。


エニアグラムが単なる性格分類法ではないという、エニアグラムは人間のスピリチュアリティを扱うものだという、その特徴が表れているところです。ビジネス系のエニアグラムなどではあまり取り上げられない部分かもしれません。

「パッション」というのは、情熱という意味もありますが、もともとはそれが苦しみのもとになっている情念です。自らの苦しみのもとになっているものでもあり、また他者を苦しめるものでもある・・・。このパッション、日本語では最近は「とらわれ」と訳されていますが、感情的な囚われの部分を理解しておく必要があります。

ファシリテーターは9つのパッションについて、ニュートラルに語る必要があります。これは非常に重要なところです。

パッションを取り上げたワークショップのなかでは、同時に美徳について触れておく必要があります。各タイプの本質に根差す部分です。クラウディオ・ナランホの『性格と神経症』を読んでいると、性格とはすなわち神経症的傾向であるというふうに読み取れ、自分のタイプの章を読むと暗澹たる気持ちになる人もいるかもしれません。ワークのクロージングでは、自らの内にあるよきもの、素晴らしい可能性に目を向けられるようにしたいものです。

 ⇒パッション

 ⇒美徳
最新の記事