2018年10月31日(水)
幼児期の愛着関係(内なる母親像・父親像)
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各タイプの内なる
母親像・父親像とその葛藤


 現代心理学では幼児期の愛着対象との心的関係が、大人になってからの対人関係に深く影響していると考えられています。

 それは無意識のレベルでの働きであり、水面下で私たちの人間関係、とくに人生の場面・場面で出会う重要な人との関係において、影響を及ぼしているものです。

 自分自身の傾向を意識化できていないと、私たちは人生で大切な人との関係において、何らかの問題を引き起こす可能性があります。

 相手が変わっても、繰り返し同じような葛藤を抱えることになります。←ここが重要なポイントです。

 ここでは、私たちの無意識の深層にある幼児期の愛着関係に焦点を当て、エニアグラムタイプにおける支配的なパターンとその特徴を明らかにします。

 対象関係とエニアタイプの関連についての理論と解釈は、米国エニアグラム研究所のドン・リチャード・リソとラス・ハドソンの指導と著作に負うものです。

 リソ&ハドソンは、対象関係論との関連で、エニアグラムの各タイプの意識の深層にある情動とそれがもたらす対人関係での問題点についての考察を深めています。

 私たちが気づかずにやってきた人との関わり方のパターンを理解し、意識的にその問題に取り組むことは、人生で出会う大切な人との関係を、よりよいものにしていくために役立つはずです。

 対象関係論とは、自我の発達と幼児期の愛着対象との関係について扱う精神分析理論の一つです。詳細について述べる前に、下記の点について確認をうながします。

 ■性格は生まれ持ったものがあり、生れてからの環境によって形作られるものがある。

 ■性格を形成する土台にあるもの
   ①生まれ持ったもの(遺伝的なもの、体質など)
   ②生まれてからの環境の影響(親子関係、教育、文化など)

 ※エニアグラムでは、以下の三つのワードは、ほぼ同義的に用いられています。

   性格=パーソナリティ=自我

 ■私たちの性格は9つの基本タイプに分類される。タイプは生まれ持ってのものという見方がなされています。

 ※それがどこから来るのかは謎。科学では解き明かせない問題。

 ■持って生まれた性格は、まず気質という形で現れる。

 ■子供の気質は、幼児期のかなり早い時期に明らかになってくる。

 ■気質は体質と関係がある。

 ■幼児期の親子関係は、性格のタイプを決定するのではなく、性格の健全度に大きな影響を及ぼすと考えられています。

 ■親子関係によって、子供のタイプが決定するのではない。

 ■親のタイプが子供のタイプを決定するわけでもない。

 ■父親と母親のタイプの組み合わせから、ある特定のタイプの子供が生まれてくるというわけでもない。

 ※たとえ、親のタイプがわかっていたとしても、その親から生まれてくる子供のタイプを予想することはできない。

 したがって、

 ■親が子供のタイプを決めることはできない。
 
 ■幼児期の環境は性格の健全度に関係する。


 対象関係の「対象」とは、愛着の対象を意味しています。

 幼児にとって、それは基本的には母親ということになります。

  →子供にとって母親は最初の愛着対象。

 赤ん坊は最初のうち、母親と一体化した状態にあり、自他の区別ができません。

  →母子不分離の状態

 次第に母親からの分離が始まり、最初の2~3年のうちに、自己と他者の区別が生じ、自我が発達していきます。

  →母子分離  自他の区別

 この分離の仕方が、無意識のうちにそれに引き続くパーソナリティーの形成に影響してきます。

  ※子供は愛着の対象に対して、何らかの感情を持つ。

 次に、自立の過程で、父親的な機能が必要となってきます。

 母親は赤ん坊を受け入れ、世話する養育的な面を持ち、父親は子供を守り、導き、自立を促す機能を持ちます。

  母親的機能:子供を受容し・ケアする。 愛、やさしさ、暖かさ。
   ↓
  母親像 (アーキタイプ)

  父親的機能:子供の自立を促す。保護。導き。厳しさ。コントロール。
   ↓
  父親像 (アーキタイプ)

 (父親像・母親像に関して、何らかの感情的な引っかかりがある。)

 幼児期の愛着パターンは、現実の親がどうであったかということよりも、子供の側の親に対する内的・心的結びつきを表しています。

  幼児期の愛着パターンは、大人になってからの人間関係に影響する。←ここが重要なポイントです。
  
 母親的機能・父親的機能は、必ずしも生物学的な母親・父親が果たしているとは限りません。

 たとえば、母親的な機能を満たしてきたのが、おばあちゃんやおばさんであるという場合もありえるでしょう。ときに、それが男性であることもありえます。
 
 同様に、父親的機能を果たしてきたのが、祖父や叔父、またときにそれが女性であることもありうるわけです。

   エニアグラムの9つのタイプにおいて、対象関係は特徴的なパターンが見出されます。

 そして、それが各タイプの人の人生のなかで、あらゆる人間関係のなかで、繰り返されることになりうるのです。

 ■対象との愛着関係には三つの基本的な情動パターンが見られます。
   
 ①執着
 ②フラストレーション
 ③拒絶


 ①執着:赤ん坊がおっぱいが与えられ、空腹が満たされている状態。欲しているものがすべて十分に与えられている感じ。よい対象への執着。

 ②フラストレーション:赤ん坊は空腹が満たされない感じを持つ。必ずしも、自分が欲する通りに、欲求が満たされない。十分に満たされていないという感じ。そこにフラストレーション(欲求不満)が生じる。

 ③拒絶:自分の欲求が満たされない。泣いても泣いても誰も来なかった。赤ん坊はあきらめてしまう。自分は切り離されていると感じる。そこに拒絶がある。

 ■誰でもこの三つの対象関係を持っているが、タイプによって特定の傾向があり、中心的なパターンがあると考えられています。



対象関係(愛着関係)とエニアタイプ関連記事
 ※異なる時期に書いたので内容が重複する記事があります。

 ●エニアグラムのタイプと対象関係の関連

 ●対象関係から見た三つ組み

 ●幼児期の愛着関係(内なる母親像・父親像

 ●幼児期の愛着関係とエニアグラムの9つのタイプの関連

 ●幼児期の愛着関係(対象関係)タイプ1・4・7

 ●幼児期の愛着関係(対象関係)タイプ2・5・8

 ●幼児期の愛着関係(対象関係)タイプ3・6・9





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