2018年10月4日(木)
性格の健全度ー1 性格と人格
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あるいは性格と人格
同じ性格タイプのなかにも
健全度の違いがある


 日本語の「性格」と「人格」という言葉には、大きなニュアンスの違いがあります。
 
 性格はおとなしいとか、気象が激しいとか、明るいとか、まじめとか、パーソナリティーの傾向と特徴を表すものですが、人格はその人の「人間性」そのものを意味しています。

 性格は同じでも周りの人に人間的に素晴らしい人だと思われるか、あまり付き合いたくない人物だと思われるのか、それともとくに印象に残らない人なのか…。

 米国エニアグラム研究所のリソ&ハドソンは、性格の健全度についての指標を作りました。それは、大きく三つの段階に分けられます。

   ・健全な段階
   ・通常の段階
   ・不健全な段階


 各段階はさらに細分化され、それぞれ3つの段階に区分されることになります。このリソ&ハドソンによる性格の垂直構造の体系化は、意識のレベル【発達の諸段階】と名付けられています。

 リソ&ハドソンは、従来のエニアグラムを含むタイプ論は、こうしたダイナミズムを内包していなかったため、健全度がばらばらなタイプが一律に論じられたり、タイプの混同があったと考えました。

 同じタイプなのに非常に違って見える人がいるのはなぜか? また、同じ人なのに時によって、そのタイプとは思えないことがあるのはなぜなのか?

 発達段階の理論によってその理由が説明されます。

 リソ&ハドソンによれば、意識のレベルは人がどれだけ、みずからの性格構造と一体化(同一化)しているかを明らかにするものです。

 タイプは生まれ持ってのものですが、意識のレベルは後天的な影響を受けると考えられています。

 子供の健全度のレベルには、生まれてからの環境、親子関係、文化、身体的な健康その他、きわめて初期の親子関係や他の関連した環境的要因(健康、教育、栄養)の”質”が、途方もない影響を与えることになります。

 例)不健全のレベル たとえば虐待など。

 健全・通常・不健全の三つの段階は、質的な差異がある。

 健全な段階では、どのタイプの人も性格のとらわれが少なく、社会にうまく適応でき、自分の持っている能力を生かすことができます。人とトラブルを起こすことは少なく、より自己実現の方向に向かっていくと考えられます。

   通常のレベルでは、自分の性格の持つ悩みや迷いが増えてきます。健全度が下がるにつれ、精神的にアンバランスで、情緒的に不安定になり、ストレスや困難な状況にうまく対応できなくなっていきます。

 リソ&ハドソンの9つの意識のレベルを段階を追って眺めてみると…

【健全な段階】

 レベル1【解放のレベル】性格タイプの達し得るもっとも健全な状態。スピリチュアルな資質。

 レベル2【心理的能力のレベル】自我の防衛機制が始まる。そのタイプ独特の、自己感覚や態度が現われる。

 レベル3【社会的価値のレベル】自我がより活発になり、社会的に健全に機能するための特徴的なペルソナが現われる。

                  
 【通常の段階】

 レベル4【不均衡のレベル】そのタイプに特徴的な心的エネルギーにより、微妙にバランスをかく。特定の社会的役割に強く固執する。

 レベル5【対人関係のコントロール】独特の方法で回りの環境をコントロールしようとするにつれ、自我が肥大する。より不健全で否定的な特徴が目立つ。自分が信じる自己イメージを他人に受け入れさせ、自我のニーズを満たそうとする。このレベル以降、より自己中心的で、防衛的で、葛藤を抱えることになる。

 レベル6【過補償のレベル】葛藤や増大する不安に対し、過剰に対応する。自己中心性の特徴的な形態が現われる。他者との葛藤がエスカレートしていく。

                     
 【不健全な段階】

 レベル7【侵害のレベル】きわめて機能不全で、神経症的。自我を支えようと、必死の生存策を用いるが結局は失敗に終る。深刻な対人関係の葛藤が起こる。

 レベル8【妄想と強迫的行動】深刻な内面の葛藤と妄想的防衛が起きる。現実との接点を失いはじめる。

 レベル9【病理的破壊性】完全に病理的。自己や他者を意識的・無意識的に傷つける。深刻な暴力や死に至る。

 レベル3とレベル4の間、レベル6とレベル7の間には、質的な差があると考えられています。




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テーマ  性格の健全度
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