2020年6月30日(火)
【エニアグラム入門】性格のとらわれって何ですか?
img01

Q:エニアグラムで「性格の囚われ」と言われているものがありますが、それはどういうものですか?



A:「性格の囚われ」とは、私たちの内にあるちょっと厄介な感情のことです。

これまでのあなたの人生で、何か繰り返し繰り返し、同じような問題が生じたことはありませんか?

たとえば、大事な時にいつも同じような失敗をするとか、相手や場所が変わっても似たようなトラブルに巻き込まれるとか。

異性との関係がいつも同じような別れやケンカといった結果に終わるとか。

そういうときに心の中に湧き起こった感情はどういうものだったでしょうか? 

おそらく、内面の感情もどこかに通ったところがあり、「そういえば以前にもこんなふうに感じたことがある」ということがあるかもしれません。

誰でも自分の中で馴染みのある感情があるものです。とりわけ、自分自身を苦しめることになるような感情、それがもとで人との関係が悪くなるような感情があります。私たちは無意識のうちにそういった感情にとらわれて行動してしまっている場合があります。その厄介な感情がパッションと呼ばれるものです。

性格タイプのエニアグラムの創始者であるオスカー・イチャーゾは、エニアグラムの図の上にその厄介な感情を配置しました。これでどんなタイプの人がどんな厄介な感情をかかえやすいかがわかります。

その感情はパッションと呼ばれますが、「パッション=Passion」とは、もともとその感情がもとになって人生に苦しみがもたらされるような感情のことを表していました。

各タイプの感情的とらわれ=パッション(passion)は次のようなものです。



わりと強烈な言葉で表現されていますが、こういう感情は多かれ少なかれ、私たちの内にあるものです。

昔むかしにさかのぼりますが、紀元前3世紀ごろ、キリスト教の著述家で教会博士と呼ばれていた人の中に、エヴァグリオス・ポンティコスという人がいました。昔の修道者が神様に向かって祈り、修行をしていくときに、人によって持て余す感情があることがわかり、そのことを著作に残しました。

それらの感情は人の心が神様から離れていく傾向という意味で、「罪」と呼ばれました。その考え方は<7つの大罪>として伝えられています。

<7つの大罪>は、上にあげた感情のとらわれに対応しています。怒り、高慢、妬み、溜め込み(強欲)、貪欲、肉欲、怠惰の7つです。エニアグラムは9つのタイプがあるわけですが、残る二つは「虚栄」と「恐怖」ですす。

一説によると、虚栄と恐怖はあまりにも誰にでも共通する感情なので、わざわざ7つの中には入れられなかったということです。

もっとも、性格のとらわれを理解するうえで、とくに宗教的なことに触れる必要はありません。

こういった感情はじつは、わりとありふれたものなのです。
 

あなたはどんな感情に囚われたことがありますか?


【怒り】誰でも腹が立ったことがあるでしょう。怒りを抑えられなくなることがあったかもしれません。怒りを抑えようとして、イライラしたかもしれません。

【高慢】密かに自分を他の人と比べて、自分はまだ幸せ。あの人はかわいそうと同情心を抱いたことはありませんか。可愛そうな人を助けてあげたいと思って行動したとき、ちょっと上から目線になっていたことはありませんか?

【虚栄】人前で必要以上に見栄をはってしまったことはありませんか?

【妬み】仲のいい友達の成功や幸せを、また自分より先に出世した同僚を妬んだことはありませんか?

【溜め込み】自分がもっているものを、ものに限らず、知っている情報やちょっと動けば人を助けてあげらえるようなことでも、自分からは何もせず抱え込んだままにしていることはありませんか? それが溜め込み、ケチです。

【恐怖】怖いという感情にとらわれてしまうとあまりいいことは起きませんね。

【貪欲】いまあるもので満足できず、あれもこれもが欲しくなります。モノや新しい体験、付き合う相手も、もっともっとを求めます。でも、手に入ったものでは飽きたりないのです。

【欲望】図の上ではもっとストレートな言葉を用いていますが、この言葉が意味するところは、過剰なエネルギー。支配欲といってもいいでしょう。

【怠惰】当然やるべきことをやらない。特に自分の精神的な成長に関わることで怠けてしまう。

そういった傾向です。タイプによって、どういう感情の傾向が強いかというのがあるわけです。

もちろん、エニアグラムではそうした感情から解放され、本来持っている自分の美徳(美質)を耕す方法が示されています。
最新の記事