2018年6月30日(土)
グルジェフ 第四の道
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変容のためのエニアグラム
グルジェフの第四の道について


 古代の人々は人知を超えた神の意志や宇宙を中心に物事をとらえていました。現代のように人間中心の世界観ではありません。

エニアグラム図は、円と正三角形、そして正三角形の頂点に置かれた三つのポイント以外の6つのポイントを結ぶ変六角形で構成されています。 円とは「完全」を意味します。完全なものとは神です。あるいは宇宙全体を意味していると見てもよいでしょう。

 エニアグラム図を現代社会にもたらしたグルジェフは、人間に可能な精神的発展の道があると考えた人でした。彼は、その道についての教えは、現代(彼の生きた時代)にはすでに失われてしまっているが、古代のどこかにあるはずだと信じていました。そして、当時治安の悪かった中近東やアフリカを命がけで旅し、険しい山のなかの奥地にある修道院で、エニアグラムのシンボル図形を見つけたのです。

その根底にある人間観は、近代的自我を中心にした人間観とは異なります。 人が精神的に成長発展していく道というのは、より完全なものに近づく道、神(聖なる一者、宇宙の意思)に近づく道を意味していたのです。

しかしながら、人は誰も完全な者とはなりえない。わたしたちは不完全な存在です。けれども、完全なものを目指すことはできる。それが、スピリチュアルな自己成長の道です。

 昔から、神に近づく道として、霊的な修行の道や悟りを得るための方法などが考えられ、実践されてきました。
グルジェフによれば、それにはこれまで三つの方法があった(三つの方法しかなかった)。 彼はそれを第一の道、第二の道、第三の道と呼んでいます。

第一の道:ファキールの道     
                         
 ファキールの道とは、肉体との闘いの道で、本能センターに働きかけるものです。昔から身体的な苦行を行う人々がいました。彼らは自分の身体を鞭打ったり、硬い石の上で寝たり、自らの肉体を責めさいなむことで、肉体に対する意思と力を発達させようと努めました。

 紀元三世紀ごろになると、キリスト教の修行者で世俗の生き方を捨て、砂漠の荒野に出向いて、独居生活を送り、孤独な修行をする人たちがでてきました。 砂漠で修行に励んだ修道士たちは、砂漠の隠修士と呼ばれます。そう言った人たちのなかには、身体的に、きわめて過酷な修行を行った人たちがいたようです。

でも、この第一の道はふつうの生活を捨ててでないとできないわけです。世俗の生活を捨て、家庭を持つことや家族と一緒に暮らすことをあきらめ、職業を持たず、すべてを捨てて、行かなければなりません。 それに、グルジェフは述べています。ファキールの道では、たとえ意志は獲得できたとしても、それを適応する対象も持たず、知識や自己完成のために活用することもできないというのです。


第二の道:モンク(僧侶)の道      
                        
 これは修道僧の道であり、信仰の道です。宗教的感情、宗教的犠牲を伴います。自分の感情を信仰にゆだねる、宗教的な愛の世界です。この道は感情センターに働きかけ、ハートの変容を目指すものです。たえず祈り、神をたたえ、決まった日課を信仰のためにささげる、僧侶や尼僧のような生活を意味します。

 これも、ふつうの生活をしていたらできませんね。出家しなければならないですから。お寺や修道院など、そういうところでの生活となります。在家でもほとんど、神にささげる生活ということになるでしょう。 ビジネスをしながらこのような生活を送るのは無理です。

この第二の道では、肉体と思考能力が未発達のままだとグルジェフは言っています。

第三の道:ヨーギの道    
                          
これは知識の道、精神の道です。思考センターに働きかける道ですね。頭のなかを静かにし、瞑想の世界に入ります。仏教の禅の修行などがそういったものになります。全人生をかけて、悟りを得ようとするわけです。

しかし、これも世俗的な生活を送っているとむずかしい。禅道場へ行くのも、たまの休みにストレス解消とか、こころをリフレッシュするため。人によってはダイエットのためにという人もいるかもしれませんが、いずれにせよふつうの生活をしていては、第三の道をきわめることはできません。

  ヨーギの道では、肉体と感情は未発達のままになってしまいます。すべてを知っているが、何一つすることができないということになります。



第四の道:ずるい人の道        
                      
しかし、第四の道がある。
「第四の道はまず見つけられねばならない」
 第四の道は、先の三つの道のように世俗の生活を捨てなくてもやっていける道です。

 グルジェフは、第四の道とは、普通の生活状態にとどまり、普通の仕事を続け、それまでの交友関係を保ち、何一つ放棄したり手放したりせずにこの道に従って修練することができると言っています。

「第四の道は人間存在のあらゆる側面に同時に影響を及ぼす」 と、グルジェフは言っています。 つまり、第四の道は本能・感情・思考の三つのセンターに、同時に働きかけます。

 しかも、「第四の道では<信仰>は全く要求されていない」と言っています。 「第四の道では、人は、語られたことが真実であることを自ら確かめなければならない。そして得心するまでは何もしてはならないのだ」

第四の道は、肉体に働きかけながら同時に精神と感情とに働きかけ、精神に働きかけながら肉体と感情に働きかけ、感情に働きかけながら精神と肉体に働きかる・・・。

※肉体とは本能、精神は思考と読みかえることができます。

「第四の道は時として、ずるい人間の道と呼ばれる」
 エニアグラムは、まさにこの第四の道への取り組みなのです。わたしたちは普通の生活をしながら、より高次の生き方を求め、精神的な進化発展を目指し、スピリチュアルな自己成長の道を歩もうとしているといってよいと思います。

 繰り返しますが、第四の道の特徴は、先の三つの道のように、思考・感情・本能のどれか一つのセンターに集中するのではなく、すべてのセンターに働きかけるというところです。

※「 」内は『奇蹟を求めて』(P・D・ウスペンスキー著 浅井雅志訳:平河出版社)よりの引用です。さらに詳しい内容に興味のある方はこの本をお読みください。 ウスペンスキーはグルジェフの弟子だった人。彼がグルジェフから聞いたことを記述しているという形の本です。
 

 ⇒『奇蹟を求めて―グルジェフの神秘宇宙論』 (mind books)

 第四の道の教えについては、米国エニアグラム研究所ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソンのセミナー、ワークショップの中でも尊重されていました。


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